鍋島翁の爺通信

白秋 – 人生稔の秋です

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孤独の治療

夫を失った70歳前半の女性の方。今まで、孤独の体験がなく、一人暮らしの辛さを契機に、不安うつ状態となり、受診されました。初診は昨年7月頃だったと思います。様々な薬物治療を行っても、副作用ばかりで、本人さんの不安や抑うつは一向に改善されませんでした。最近はお孫さんが通院を手伝っています。子どもさんは、医療関係に従事され、その仕事が忙しく、母親の面倒をみる余裕もみられませんでした。意外ですが、医療関係に従事されている家族は、患者さんのサービスには熱心ですが、身内には厳しい傾向はよく見られます。約10か月ほど経過しましたが、不安や抑うつが改善される傾向はみられず、入院のための紹介状を作成することになりました。


 人間の進化の過程で、人間が身に着けてきた能力とは何でしょうか?⓵天敵から身を守ること、②孤独が辛く、集団で生活するようになったこと、③記憶、④言葉、の順になるそうです。それくらい、人間は、孤独に弱いようです。集落をつくって、生活することで、安心して暮らせるのだと思います。
 私の義父も、義母が60歳で突然死され、その以降、一人で暮らすことができず、毎日、家内に電話がかかってきていました。辛いのだろうと思ったのですが、1-2年後に再婚され、孤独から開放され、電話はなくなりました。誰でも、同じなんでしょうね。私も家内が亡くなった場合、私は一人暮らしに耐えられるか?難しいかもしれません。いずれ誰も経験しなければならない辛さ。時間が過ぎていくことが最も最大の治療かと思いますが、周囲の方々の援助も大切でしょう。それくらい、対象を失うことの辛さは筆舌に尽くしがたいようです。


 最近、20代の女性の方もペットロスで受診されましたが、先週の土曜日、気持ちの整理がつきましたということで、終了としました。若い人は回復が早いようですね。年をとるにつれ、自分の身近なところで会話ができる人がいない状況は、深刻でしょう。私は現在、定年退職して、家内と暮らしていますが、4年間単身赴任していた頃を回想してみると、辛かったなあと思い起こします。みんな同じですね!


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