S大学では、今、次期学長の候補者が公募されています。これまで、立候補者の推薦人になった経験があり、以来、非難を受けた経験があるので、関与しないことにしています。一般人からみれば、教職員の投票があるので、その結果が大きく反映されると思われる方が多いでしょう。その結果はあくまで、参考資料にすぎません。最終的に決定に大きな影響があるのは、外部識者(知事、銀行頭取、産業(農業)の代表者、新聞社社長、市長の代表など)の力が大きく反映されます。加えて、各学部長も投票権もあります。

そこには、民主主義(法人で働いている従業員の意見)だけではなく、その県の今後の繁栄を考慮して、最適な人物が選ばれるわけです。特に、大学が法人化した以降、この制度が積極的に採用されています。(この制度の良し悪しはわかりません)大学内が抱えている問題が外部の識者にどれくらい理解できるかは疑問が残りますが。また、学問だけではなく、政治経済的な色彩を帯びてきます。
今後の大学の繁栄を考えると、その頂点に立つ人はかなりの影響力があるでしょう。地方の大学では、定員割れの私立大学も目立ってきていますので、学費が安い国立大学法人が有利になります。今、生き残りをかけて、私立大学は短大の不人気もあり、4年生大学に拡大しようとしたり、県の人口を増やすために、県立大学構想、時代に要求される新学部の設置など、問題は山積されています。

国立大学法人では、受験者が定員の2倍を切ると、廃部においこまれる可能性が文科省からプレッシャーがかかるので、各学部の特色を強調して、受験者が集まるように、各高校に足を運んだり、ネットで積極的にアピールしています。米国に訪問した際、びっくりしたことは、スタンフォード大学のホームページには、受験者が増えるような名物教授の模擬講義を全面に打ち出して、こんなすばらしい講義が受けられるから、スタンフォードに入学して!という方法で、志願者を増やしていました。日本をそうなるに違いないでしょう。それくらい、アメリカの大学は競争が激しいのです。

これから、どこの大学も必死に学生集めに走ることでしょう。大学は教育機関なので、教育を重視しないといけません。研究業績など、高校生にはわかりませんので。どのような方法がベストなのか?魅力的な大学になるのか、高校生にとって。そこには、大学も「学生サービス」という観点から、新たな方法を考え直す時代になります。そういう意味で、外部審査員に、県内の主要産業の代表者に集まってもらって、学長を選ぶというのは、理にかなっているのかもしれません。「サービス」がよい大学が生き残っていくことでしょう!
