鍋島翁の爺通信

白秋 – 人生稔の秋です

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関与しながらの観察 participant observation

最近、クリニックや診療所に、学生やその両親が一緒に受診されることが多くなった。これは、よいことだと私は感じています。その中で、両親が「こどもとどのように関わったらよいのでしょうか?」と質問を受けることが度々あります。


 私は、関与しながらの観察 participant observation という関わり方を説明することが多くなりました。この関わり方を最初に提唱したのは、ハリー・スタック・サリヴァン(1892-1949)米国の精神科医です。どのような関わり方かというと、例えば、子どもがブランコ遊びをしている光景を思い浮かべてください。「子どもが遊んている際に、子どもの後ろから背中を押して、遊びを援助しますか」それとも「子どもがブランコで遊んでいる近くで、見守りながら、もしけがをしようとした場合、助けてあげますか」を尋ねてみれば、よいでしょう。関与しながらの観察は後者のスタンスになります。両親は子供になにか困ったことがあれば、援助しますが、そうでなければ、自由に遊んでいる姿を見守るだけでよいのでは、と私は勧めています。現代社会、親が子供に関与しすぎると、こどもは窮屈でしょう。子どもも自由に遊んだり、勉強したりすることができなくなり、両親に怒りさえ感じることでしょう。


 子育ての基本は、子どもの自由を奪わないこと。好きなようにさせて、困ったときに、親が係る程度が理想なのです。サリヴァンはそのことを伝えたかったではないかと思います。文化人類学の方法論としても、この方法は有名ですが、研究者がある民族の一員となって、観察しながら、何かを発見していく、という方法ですね。


 関わりすぎの親子関係。現在、この問題を真剣に考え、親子の好ましいディスタンスが問われる時代になっています。


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