自己顕示とは「自分を目立たせること」であり、自己顕示欲とは「自分を目立たせることで、周囲の人から注目されたいという欲求」のことを言います。
一方、自己顕示欲と似た欲求に「承認欲求」があります。承認欲求とは「他者から認められたい」「自分を価値ある存在として認めたい」という願望のことです。
両者の違いとしてよく言われるのが、自己顕示欲は「能動的」で、承認欲求は「受動的」ということです。自己顕示欲の強い人は「自分をアピールしたい」「注目を浴びたい」「称賛されたい」という気持ちから、能動的に行動を起こす傾向があります。一方で、承認欲求の強い人は、「誰かに認めてほしい」「自分を受け入れてほしい」という欲求を持ちつつも、姿勢としては受け身です。何かアクションをしてアピールするというよりは、ありのままの自分を承認してほしいと考えています。

私のかつての上司は、自己顕示欲が著しく高く、すべての論文をあえて自分の名前を頭につけて、投稿していました。自分が一番優れていると錯覚し、その一方、自分を越えようする人物がいると、辞めさせようとするタイプの方でした。もう他界されているので、天国で笑っているかもしれませんが。組織はバラバラになり、機能しなくなったこともありました。その時には、気づいていなかったですね。別の言葉でいうと、超ナルシスティック(自己愛)!自分が一番でないと気が済まない性格でした。能力が伴えば、それはそれでよいのですが、患者さんの診察もできない、診察しても、怒りまくるので、一度その診療姿勢を新聞に投稿した患者さんがいました。
承認欲求は、だれにでもありますが、うつ状態に陥っている方は、承認欲求が高まります。自責感、罪責感、虚無感など、自己評価が病的に低下しますので、自分を認めてほしい、わかってほしいと訴えたくなるのですね。私の場合が、一時、承認欲求が高まりました。
どちらの欲求も好ましい欲求ではないでしょうね。ただ、自己顕示欲が高い人は、傲慢、他者の意見を聞かない、自分だけの判断で行動するなど、組織自体がうまくまとまらなくなるので、そのことに早く気づいて、同僚の一人一人が持っている才能をうまく活用して、全体として機能するようにならないといけないですよね。自分の都合のよい人を周囲に集めて、連合して、不都合な同僚を追い込むという残念な行動に走りやすいので。まあ、こんなことは、どこでも生じていると思いますが。賢明な方が行う行動ではないでしょう。

