鍋島翁の爺通信

白秋 – 人生稔の秋です

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世の中は矛盾だらけ

軽度うつ状態にある学生さんが禁煙しようと決心して、相談に行きました。しかし、うつ状態にある方は禁煙が難しいとの理由で断られて、クリニックに受診しました。禁煙には、チャンピックスという薬とニコチンパッチを用いた方法があります。ニコチンパッチは、薬剤師が勤務するドラッグストアーで購入することができます。1枚、20㎎のものと10㎎のものがあります。1枚470円くらいだったと思います。毎日1枚、上腕に貼り付けます。そこから、皮膚を通して、体内にニコチンが浸透し、タバコの本数を抑えることができます。1日20本吸っている方は、20㎎のニコチンパッチがよいでしょう。
 私がここで強調したいのは、ニコチンパッチのことではありません。医療サービスの在り方です。タバコを辞めることはかなり困難です。何度も失敗する人を体験しましたし、私もそうでした。重要なのは、辞めようとする方の意思と気持ちを維持し、見守る役割を担う医療者が必要ということです。私は、35歳頃に少年刑務所に非常勤として約7年勤務しました。覚醒剤やシンナー中毒の青少年が入所していました。その離脱症状の苦しみ方を目の当たりにしていましたので、依存症治療の困難さを経験しています。精神科の治療というのは、ほとんで原因不明で、対症療法の域を越えません。症状が自然寛解するのを見守ることが大きな役割です。根治治療ではありませんから。それ以前に、治療者のこころがけが大切。かなり面倒ですが、寄り添いながら、自然治癒を見守ります。立派な先生は、治療意欲のある学生を断ることはないでしょう。

ただ、一度採用された公的機関の医師は、業績がなくても、辞めさせられることはないのが現実。あえて、難しい治療を行って、うまくいかない場合、治療者の責任になる可能性がありますので、避ける先生もいるかもしれません。そこには、正義感、心構え、道徳心など、目に見えない形で頑張る先生もたくさんいらっしゃいます。
 私は、ニコチンの問題とは関係ないのですが、かつてオランダで講演を頼まれて、行きました。そこでは、コンビニに大麻が売られていました。それを買いに、多くの国外の観光客が訪れていますとオランダの留学生からも聞きました。日本であれば、即、刑務所行ですが・・・


 世の中、矛盾だらけ。そんなに体に悪ければ、タバコを売らなければよいのに。ある愛煙家の先生が、「タバコは文化」だと言って、学内で堂々と吸っていた時代がなつかしい。いろんな場面で、本音と建て前が交錯しているのが現実でしょう。

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