
悩める学生さんの主訴として比較的多いのは、不眠、食欲不振、生活リズムの乱れなどである。いずれも、その根本にあるには、生体が本来持っている時計が何らかの理由で、乱れてしまっている。最悪の例では、昼夜逆転、食事は1日1回といった具合である。

そもそも人のリズムを整えているのは、太陽光と運動(足)だと私は思っている。うつ病の治療として朝散歩が推奨されているのも納得できる。

体内時計の研究で有名なのは、ジェフリー・ホール、マイケル・ロスバッシュ、マイケル・ヤングの3名の科学者は、生物の体内で時を刻む「体内時計」とその指示を出す遺伝子を特定した功績で2017年ノーベル生理学・医学賞を受賞した。つい最近のことである。それ以前に、ジョセフ・タカハシ(日系アメリカ人)が1997年にマウスの実験で、clock geneをすでに報告していたが。

さて、毎日、うつ病の診察をしている私にとっては、うつ病の罹病期間は変わらないような気がしている。薬は抑うつ症状の緩和である。罹病期間自体を短縮できるものではない。つまり、時計が故障していると考えている。それはなぜか、次のテーマに。